ガイドブックには載っていない、ベトナムの素顔。

貧乏チームの快進撃

「スター選手は要らない。外国人助っ人も要らない。」

それでもCSドンタップは今シーズンのVリーグで快進撃を続け、現在2位を死守している。

DongTap.jpg 昨シーズン、CSドンタップはプレイオフでビンディンを破り、昇格を果たした。しかしタイン・ビン、ヴィエット・クオンといった主力選手たちが移籍してしまい、シーズン当初は成績が不安視されていたが、開けてみれば降格争いどころか、今シーズンのVリーグで素晴らしい戦果をあげている。

クラブオーナーのグエン・ゴック・チュック氏は、「控えの選手が出場機会を得て、一気に台頭してきました。フオック・タイン、ミン・チエット、ドゥック・エムなどの、ここ数年ベンチを温めていた選手たちが、今シーズンは主力選手に成長してきました。こういった出場機会に餓えていた選手たちが、今シーズンは高いパフォーマスをみせてくれています。」と、原因を分析している。

CSドンタップの試合がある日は、ホームのカオラン市競技場に、サポーターたちが周辺の村や町から、徒歩やボートでやって来る。ほとんどは貧しい農民たちだ。チームの首脳もそのことは十分に心得ていて、入場料も破格だ。一番安い自由席で5000ドン(約27円)、A席で35,000ドン(約187円)、B席で20,000ドン(約107円)という安さ。もちろん収益ははなから期待していない。しかし選手たちは幸せなことに、これら農民たちは大変貧しいにもかかわらず、入場料を払い競技場へ応援に駆けつけることを厭わない。

地元ドンタップ省サポーターたちのサッカーへの愛情は、選手たちに無形の責任を負わせ、そして100%以上のパフォーマンスを発揮するための原動力となっている。

2009年6月25日付 青年新聞(Bao Thanh Nien)より


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なんだか琴線に触れるニュースですね・・・。

ベトナムサッカー、Vリーグは最近、元ブラジル代表のデニウソンがXMハイフォンと契約するも、わずか45分プレーしただけで退団、ベトナムの滞在期間23日で帰国という、唖然とするようなニュースで注目を集めました。

が、そんなハイフォンみたいな金満チームではなく、ひたむきな頑張りと団結で勝ち進んでいる、地方農村の貧乏クラブ、CSドンタップ。クラブが所在するドンタップ省は、カンボジア国境に接するメコンデルタの街です。記事でも、サポーターが徒歩やボート(メコンデルタの水路でよく見かける、2~3人乗りの小さな船でしょう)で観戦に来るというから、その田舎ぐあいがわかろうというもの。そんなチームが、大都市の有名クラブを蹴散らし快進撃を続けているのですから、痛快です。

ベトナムサッカーは、技術は高くありませんが、有名なスポーツライターにも高く評価されています。

http://wsp.sponichi.co.jp/column/archives/2007/08/post_880.html

そのベトナム代表の中心選手は、地方都市のクラブに所属している選手が多いです。新旧エースストライカーのコン・ヴィン、ヴァン・クエンも、ベトナム最貧省のゲアン出身。

記憶に新しい、AFFスズキカップで優勝したときも、ほとんどの選手は125CCのバイクで練習場まで通って来ていました。そういうハングリーな選手たちのひたむきな努力が報われる・・・ほのぼのとした、いい話です。


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