大学に入るために・・・家族の苦労
田舎の貧しい地域から、受験生やその保護者達は、大学に入る夢を持って、街へ上京してくる。しかし、その滞在費や食費を工面するために、彼らは爪に火をともすような生活をせねばならない。
「入試で上京、民芸品を売って...」
グエン・ティ・トゥ・ハさんは、ココナッツで作った民芸品をかごにつめ、大学入試を受ける娘のトゥーさんと、ホーチミン市へやって来た。お母さんは爪に火をともすような苦労をしてお金をため、ベンチェ村から来ている。HCMに滞在する数日の間に、民芸品が全て売れて、滞在に必要なお金が工面できるようになってほしいと思っている。
「豚を売って、お金を借りて...」
バリア・ヴンタウ省のチャン・ティ・タイン・ジェウさんは、子どもの大学と短大入試のために、3度ホーチミンへ上京する予定だ。
ジェウさんは娘と、ホーチミン国家大学の一泊30,000ドン(約150円)の寮に、空き部屋を探しに来た。
この上京資金を作るために、一家は丸一年分の貯金をはたかねばならなかった。さらに娘の入試のために上京するとき、ジェウさんは家畜の豚を一頭売り、親戚やジェウさんの兄弟も応援して少しずつお金をかしてくれたおかげで、やっとお金を工面できた。
「兄の1か月分の給料70万ドンを持って...」
マイ・アドロンさんは、ダックラック省から来た、(少数民族の)エデ族の受験生。ホーチミン市医薬大学の看護学科の入試のために、ホーチミン市へ上京してきた。アドロンさんの4日分の滞在資金は、全部で70万ドンだけ。しかしこれでも、お兄さんの給料一か月分にあたる。
アドロンさんは、去年タイグエン省医科大学の入試を受けたが、合格できなかった。しかし彼女は気落ちせず、家族のために畑で小作をしてお金を稼ぎながら、自分の夢を育ててきた。看護学科を選んだ理由を聞いてみると、「私の学力が、他の人たちよりずっと劣っているのはわかっています。それに医大の試験はとても難しい。でも私は、看護婦になって田舎へ帰り、両親や親戚たちの役に立ちたい。私の村は、医者が全然足りていないから...」という答えが返ってきた。
2009年7月9日付法律新聞(Bao Phap Luat)より
★ ★ ★
今週ベトナムでは、大学入試が行われました。ベトナムでは、大学入試で地方から上京してくるときは、親御さんが付き添って来るのが普通です。
そうすると、大変なのが宿泊事情。地方で自給自足に近い生活をしている家庭ももちろんあるわけで、そういう人たちが物価の高い、花の大都会へ出てくるのは大変なことです。もちろん入試だけでなく、大学入学後の学費の心配もあります。
今週はそんな、大学入試にまつわる、家族の苦労話ですが・・・。
ベトナムでは、地方で暮らす人たちは、ハノイやホーチミンなどの「大都会」には縁遠い生活をしています。私の家内の母も、数年前に生まれて初めてホーチミン市へ来て、目を丸くしていました。
デパートへ買い物に行ったときも、エスカレーターが怖くてのれず、買い物が終わるまで1階で待っていた、なんてことも(笑)。
試験の日は、試験会場の門の前に、一目でそれとわかる、地方から上京してきたであろう親御さんたちがたくさんいました...。
ちなみに、大学入学後の様子...。
http://eiseinikki.seesaa.net/article/29109861.html
*本文は新聞半面の長い特集記事ですが、要約して紹介しています。
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