ガイドブックには載っていない、ベトナムの素顔。

掘り出した妻の遺体と5年間添い寝

表題の記事、日本でもロイター伝で伝えられたニュース(↓に引用)なので、ネットなどで見た方も多いと思いますが、現地新聞のより「詳しい」報道を見てみます。

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亡くなった妻を抱きしめていたいと思ったベトナム人の男性が、墓から遺体を掘り出して5年間添い寝していたことが分かった。地元のオンライン紙が26日に報じた。

 それによると、同国中部のクアンナム省に住む55歳の男性は、妻が2003年に亡くなった後、当初は墓の上に寝ていたが、20カ月が経過した時に風雨や寒さが心配になり、墓を掘り起こすことを決めたと話している。男は遺体を粘土で覆って女性の形にし、服を着せてベッドに寝かせていた。

 男には7人の子どもがおり、墓で寝ていることが発覚した時は引き止められていたが、過去数年間は、隣人が家に立ち寄ることなどはなかったという。  
(11月27日付 ロイター通信の記事より引用)

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Mixiなどでもたくさんのコメントがついてますが、日本では「ちょっと気持ちが悪いけど、でも一途な真実の愛に感動」といった見方が多いようですね。

が、ロイター伝のダイジェスト記事ではなく、現地新聞の全面記事を読むと、この男性Vさん(実名報道されてます)の印象も少し変わってくるので、そのへんを・・・。

日本語の記事を読むとミイラに粘土で肉付けしたような印象を受けますが・・・記事によると、遺骨(ベトナムの地方の村なので、火葬はしていないです)を人型に作ったセメントの像に埋め込み、石膏と紙で奥さんらしく装飾した、ということのようです。

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(Vさんと奥さんの像)


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(奥さんの像を抱くVさん。後の子供はVさんの末の息子)


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(記者を奥さんの墓へ案内するVさん)


日本だと墳墓発掘、死体損壊の罪に問われるんでしょうが、ベトナムではこういう行為を処罰する条項はないので、特に犯罪者という扱いをVさんは受けていません。

が、出稼ぎに出ている最中に奥さんが急死してしまい、その死を受け入れられなかったのだろう・・・というようなことも書いてありますが、新聞記者に墓を掘り起こす様子を淡々と説明したりと、Ben Ly (病理)という言葉を使い、「ちょっと頭が飛んでしまっている人・・・」というニュアンスを与える記事です(もちろんはっきりそうは書いてませんが)。「Vさんのこようのうな愛の形に、多くの村人は同情していない」とのことですし(法律新聞Bao Phap Luat)。

少なくとも、当のベトナムでは、「真実の愛に感動」という感想を持つ人は結構少数派のようです。

ちなみに、青年新聞(Bao Thanh Nien)のタイトルは「奥さんの像と暮らす?」ですが、法律新聞(Bao Phap Luat)のほうは、さすが「法律」の名を冠する新聞だけあり(笑)、「奥さんの像を7年間抱いていた夫:法律上に禁止条項はなし!」という見出し。

ちょっと新聞の個性が出てます(笑)。


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