ガイドブックには載っていない、ベトナムの素顔。

トゥーの話

トゥーの父はシクロドライバーで、トゥーとトゥーの母は物乞いをしていた。家庭は暖かいものではなく、後に両親は離婚した。彼女は父親と暮らすことになったが、父には子供を養う経済能力がなく、親戚中を盥回しにされた末に、孤児院に入所した。

ここでトゥーは養父母に引きとられる事になったが、養父母はトゥーを学校に行かせず、家事をさせるだけだった。しかし「勉強をしたい」という強い気持ちが、トゥーに学校に戻る決心をさせた。学校に通うためのあらゆる方法を探し、結局養父母の家も出て自分で生活をはじめた。生活は実に苦しいものだったが、しかしそれも、トゥーは挫けることはなかった。

トゥーは現在、若者新聞の奨学金を受け進学し、生徒会の副会長にまでなっている。

1月12日 若者新聞(Bao Tuoi Tre)

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thu.jpg若者新聞が奨学基金を作り、恵まれない家庭の子供たちを援助しているそうなのですが、これから数回シリーズで奨学生の話を紹介していくそうで、これがその第一弾です。

現代の日本ではまずない話でしょうが、ベトナムでは今でも義務教育をまっとうできない子どもがたくさんいます。就学率などの正確な数字はわかりませんが、名目上、小学校の5年間は義務教育となっているものの、様々な事情で実際に学校へ通えていない子どもは少なからずいるわけです。

この高校生のトゥーさんも、そんな境遇で育った子どもの一人。ただ彼女の場合、驚くほどのがんばりで高校まで進学したそうです。

「学校に行きたい」という気持ち。昔は日本でもいくらでもあった話なのかもしれませんが、今では忘れられかけていることかもしれませんね。やはり大不況だ何だといっても、日本はすごく恵まれている国なんだと思わずにはいられません。

これからも様々な困難があるでしょうが、彼女の未来の幸福を祈ります。


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